お久しぶりです。ミノキシ汁です。晴れて左腕骨折も解消され、今回からは両手で文章作成ができます(笑)
ミロさんから以下のような質問を頂いたので、お答えしたいと思います。
はじめまして。ミロと申します。
私は今25歳で薄毛に気がつきました。
それから色々調べると「フィンジア」という育毛剤を知りました。ご存知ですかね?
これを使おうか迷っています。たしかにこの記事でキャピキシルは否定されたかもしれませんが、フィンジアはもうひとつ「ピディオキシジル」という成分を配合しています。これも調べてみると「ミノキシジル誘導体」だとか「ミノキシジルと同様の働きをするが副作用はない」とか書いてありました。これって信用して良いですか?
もしよろしければご教授ください。
それでは失礼します。
ワーイ!初コメントうれしいです。
・ミノキシジルより浸透率が高いetc…
なんてネットには書かれたりしています。本当にそうなのか?
というわけで今回は「ピディオキシジル」について解説していきます。
ピディオキシジルとは?
そもそもピディオキシジルとはなにか?
ミノキシジル誘導体ってなに?
という疑問や基礎知識を解説していきます。
基礎知識
本名は「ピロリジニルジアミノピリミジンオキシド」といいます。
実はピディオキシジルは日本での名前だけで海外ではコピロールと呼ばれています。
ミノキシジルの副作用をなくすのが目的で開発されたという話しもあります。
分子構造はそっくり!
このように分子構造は非常に似ており、違いと言えば赤丸で囲んだ所がミノキシジルは6員環、ピディオキシジルは5員環という程度です。
たしかにこれだけ見ればほとんど同じ。「構造が似ている分子は同じような効果を持つ」というのが薬学や分子学では有名な話ですが、これだけを見せて「ミノキシジルと同様の効果が期待できる」と言ってくるサイトの多いこと。
たしかに同様の効果はあるかもしれません。しかしあくまで「同様」「期待」
似たような効果はあっても「同等(等しい)」レベルの効果とはいえなく、「期待できる」と表記し
「あくまで私は断言してませんよ。勝手に読者が勘違いしただけですよ」と逃げ口を用意する姑息なサイト。
そういう所に限って隙だらけの臨床試験データは載せてもしっかり解説しない。
情報を発信するサイトがこのザマ。正直薄毛者からすると迷惑この上ない。
と、愚痴はこの辺にして次へ( ^ω^)・・・
ピディオキシジルの効果
ピディオキシジルの効果は3つあります(宣伝文句)
参考文献:公式サイト
とのことらしいです。まとめると・・・
血管を拡張し栄養補給・成長期を延長する・ヘアサイクルを正常に戻す
といった効果が期待できるみたいです。
大事なのは本当にこれらの効果があるかの試験データですが。それも見ていきましょう。
ピディオキシジルのエビデンス(笑)
生体外での実験
出典:SlideShare
これがピディオキシジルとミノキシジルの毛髪活性度を調べたデータです。左がミノキシジル、右がピディオキシジルのグラフになります。
試験内容をまとめると
トルブタミドによる細胞増殖阻害をどれだけ抑制できるかを評価。
グレーがトルブタミド不使用、ピンクがトルブタミド2.5mm使用のもの。
要は人為的に薄毛の状況作り出しての試験になります。
気になる結果は・・・
トルブタミドを使用していない場合はミノキシジル、ピディオキシジルどちらもほぼ同じ効果。
しかしトルブタミドを2.5mm使用し髪の毛の成長を阻害した場合、ピディオキシジルの効果の方がやや優勢に見えます。
いちよ数値ではピディオキシジルは細胞増殖阻害を最大濃度のときに58.7%抑制することが確認できました。
こう見るとピディオキシジルはミノキシジルと同等以上の効果があるように見えますが、これは培養した細胞を用いての実験。頭皮での発毛試験ではありません。
しかも薄毛の状況を作り出すのに男性型脱毛症(AGA)の原因であるジヒドロテストステロン(DHT)ではなくトルブタミドを使用しています。
キャピキシルもリデンシルもそうですが、これをもって「ミノキシジルと同等の効果がある」言い張るのはあまりに無理があり、お粗末。
なかには「試験データではこうなっているので頭皮でも期待できます」なんて無責任に締めくくる悪徳サイトの多いこと。
火薬かレーザービーム付きのダイナマイトでいつでもその破壊力で吹き飛ばすぞ

君、相変わらず試験データになると口が悪い・・・あと、そういう歌ではないから。

すみません。また被害者としての愚痴を言ってしまいました。

気をつけてね。友達なくすよ・・・
マウスでの実験結果
出典:SlideShare
続いてマウスでの実験です。
開発メーカーは培養した細胞以外にマウスでの実験も行っています。
内容は
というものです。
生え具合と言っても、この縦軸みにくいですがGrown Hair WT (mg)と書いてあり、成長した髪の重さを計測しているというもので、重ければ重いほど、毛髪が成長した。ということなのでしょう。
パッと見でも何も塗布しない群に比べ、ミノキシジル群、ピディオキシジル群の縦軸(mg)が大きいので明らか効果があることが分かります。
少なくともこの時点ではピディオキシジルはミノキシジルと同様以上の効果があるようことが分かります。
しかし大事なのはここから・・・
あくまでこれはマウスの背中での話で、言うまでもなく人間での試験ではありません。
これをそのまま人間に当てはめるのは無理がありまし、そもそもこのマウスの毛はAGAのようにDHTによってハゲたものではありません。
そしておなじみの開発企業の自社データのみで信憑性・客観性には大いに疑問が残ります。(たった一回の実験でエビデンスとは言えません)
効果のないキャピキシルやリデンシルは一応ヒトの頭皮での試験を行っていること考えると、ピディオキシジルのデータはあまりにもしょぼい。
そもそも剃った毛を生やす力というのは発毛効果ではなく育毛効果なんですよね。
一方、私達が欲しいのはハゲてしまった部位から再び髪の毛を生やす発毛効果。
トルブタミドを使用した培養細胞の試験といい、毛を剃ったマウスを使った試験といい、凄まじいほどのコレジャナイ感。
頭皮への浸透性が高いらしい
浸透性が高いという嘘
ピディオキシジルのもう一つのメリットとして「ミノキシジルに比べ浸透性が高い」というのがあります。
期待させるのも悪いので結論から言うと、これについての実験データ、根拠を示す記述はありません。勝手に育毛サイトが書いているだけです。
おそらく育毛サイトは「浸透性がある(毛根までとは言ってない)」的なニュアンスで逃げるでしょう。
※根拠のあるデータがあれば教えてください。
信憑性がないことへの信頼できるデータ
なぜミノキシ汁がここまで強気に否定できるのか?というと、成分が浸透し、毛根・毛母細胞・血管等にたどり着くには、
✅分子の大きさ
✅適度な脂溶性
上記二つの影響力が非常に重要で、どちらかが著しく欠けてしますと、皮膚の角質層以下の保護バリアで、届けたいところまで浸透できません。
分子の大きさが500ダルトン以下が望ましく、これをクリアしても、適度な脂溶性がないと、角質層以下の層を潜り抜けられません。
ピディオキシジルは「浸透性が高い」という割にこれらの記載はなく、分子の大きさも不明(ミノキシジルは209)。まあ分子構造が似ているので、同等、それ以下はありえます。
しかし脂溶性の面は不明。
安易に「浸透性が高い」という話を信じ込むのは危険だと思います。
あくまでセールストークぐらいでとどめておいてください。
詳しくは下記

ピディオキシジルの副作用
ピディオキシジルのメリットでいわれるのが「副作用がない」ということ。
もともと「ミノキシジルのデメリットをなくそう」というのが念頭にある。と冒頭でも書きましたが、その真意に迫ります。
他サイトの評価をぶった切る!
他サイトをよく見ると
「ピディオキシジルにはミノキシジルで見られる頭皮の赤み、かゆみ、頭痛やめまいが起こらない」
と書いてあったりします。(すでに削除したところも多いです)
しかし残念ながらピディオキシジルが副作用がない。という実験結果はなく、主張のみで、根拠はありません。
もうこの時点でおかしい。この成分を推すサイトもおかしい。
本当に副作用はないのか?
ミノキシジルやフィナステリド等、高い発毛効果を持つ成分には、必ず副作用があるのは常識です。
ピディオキシジルが本当にミノキシジルと同等の効果があり、しかも分子構造も酷似しているなら同様の副作用あるいは、それに近しい反応が出てもおかしくありません。
しかしピディオキシジルを推すサイト、配合育毛剤の公式サイトはデカデカと「副作用はない」と明記されています。
開発元の公式サイトですら、そんなことは言ってないのに・・・
私が何度も言っているように、「副作用がない=効果がない」であるのは常識。
例えば比較対象とされているミノキシジルは内服薬では血圧低下やめまい、動悸などの副作用リスクがあります。
そういった副作用を排除した外用薬でも頭皮のかゆみや紅斑、炎症といった副作用が出る可能性があります。
それは高い発毛効果を享受するためには仕方なく、どんな身近な薬にも存在します。
一方でピディオキシジルはミノキシジルと同等の効果があるのに副作用はないと言い切れるのはどういうことでしょうか?
中にはこういった比較画像を持ち出し、員環の数の違いを指摘し、副作用がないと書いてあるサイトもありますが、この員環数の違い=副作用の有無という根拠やデータは公表されていませんので、うのみは危険です。
ピディオキシジルに初期脱毛は?
質問者様も気にされていると思います、初期脱毛についてですが、ピディオキシジルに初期脱毛はあるのか?と聞かれると結論から言えばありません。
初期脱毛のメカニズムは、強力な発毛作用がある発毛剤を使用することで、ヘアサイクルが正常化し、休止期状態の髪の下にある次の毛母細胞が活性化され、生えようとする作用が働くからです。
それはAGA(遺伝)に対抗できる強い効果があるからこその副作用。
癌、風邪薬や特効薬も同じです。
上記の怪しい試験結果やミノキシジルに比べ曖昧な表現のピディオキシジルに発毛効果は一切期待できず、当然初期脱毛が起きることもありません。
結局どうなのか?
「ミノキシジル誘導体」と言われていますが、ミノキシジル自体なぜ髪が生えるかというメカニズムは解明されていません。
そこで臨床試験で同等の効果があればよいのですが、頭皮での試験はなく、マウスの背中や試験管での試験。おまけに、既存の毛がどれだけ伸びるかという「育毛試験」での比較。ただでさえ不思議なところが多いミノキシジルとの比較試験。
こんな的外れな試験で同等と扱われても困ります(笑)
もともと降圧剤だったミノキシジルですが、他の降圧剤を使用しても発毛が認められていないことから、血行改善=薄毛改善とは言い切れず、なぜミノキシジルだけが?という状況です。
そこに現れたピディオキシジルですが、試験方法は杜撰。データは少ない。過剰な煽り。と満足いく結果すらないのに無駄に持ち上げられる。
怪すぎませんか?
そして日本一信頼できる脱毛症診断ガイドラインでも「成長因子」のくくりではC2(行わないほうがよい)評価。

まとめ
②臨床試験では同等以上の効果を発揮し、ミノキシジル誘導体はだでじゃない
③しかし臨床試験データは隙がありすぎて、逆に怪しい
④試験データの質、規模共に効果がない他の成長因子以下なので期待してはいけない
⑤浸透性が高い。というが根拠を示すデータはない
⑥初期脱毛・副作用はない。というが、その根拠はなく、他サイトが勝手に言っているだけ
⑥発毛は期待できない
微妙な試験結果に目を向けさせないために、ミノキシジルの欠点を補ったという点をクローズアップさせ、うまく騙しているように思えます。
ミノキシジルに対抗意識を燃やすなら、最低でも「発毛試験」を行うか、他社試験も含めもっと回数・規模を拡大させてから効果と副作用を公表してほしいです。
最後になりましたが、ミロ様いかがだったでしょうか?
あらためて調査してみましたが、やはり怪しかったです(笑)
それと同時にピディオキシジル配合の育毛剤も信用できないことが明白になったと思います。
今後の治療方法の指針にしていただきたいです。
AGA専門クリニックではこういった胡散臭い成分はお見通しで、
「効果の高さ、副作用の危険性まで把握して初めて安心して患者に処方できる」と言われています。
副作用は少ないに越したことはないですが、遺伝に対抗するのですからそうも言ってられません。
副作用が心配でしたらこちらの記事も参考にしていただければ、少しでも恐怖をぬぐえると思います。

この記事で少しでもピディオキシジルのことを理解され、薄毛治療の始まりの幕を切っていただければ幸いです。
私生活で色々あり久々の更新でしたが、Twitterは毎日更新できています。できればそちらもフォローしていただけると嬉しいです。
それでは今回はこの辺で。
またこんど!
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