胡散臭い独自成分や、AGAに対して効果が薄いのにもかかわらず騙す気満々の成長因子。
成分も開発者も怪しい育毛剤業界の中に彗星のごとく現れた育毛剤が
「マスターピース」
初見ではまたハゲを騙す新たな商売道具が見つかったのかと思いましたが、カタログスペックだけは他育毛剤を圧倒するほどの信頼感。しかしそんなに世の中と薄毛は甘くない。そんなマスターピースの真実に迫ります。

今回マジでやりすぎたかも。でも批判だけでないですし、あくまで参考までに。
マスターピースと出会い
開発に携わったのは室伏きみ子氏とシャハランメスリ氏。二人とも東京大学院博士課程修了で、生い立ちも輝かしい功績。こんな超一流の人たちが顔まで出して宣伝してるなら逆に偽物なわけないだろと考えます。
主要成分には試験データもあり、シャナランメスリ氏に至っては様々な取材や対談も行われており、非常にオープンな方という印象を受け、うさん臭さを感じなませんでした。
さらにこの時のミノキシ汁は既存のAGA治療では頭皮が荒れ続けられない。という人生の瀬戸際に立たされており、
✅フォリックスの間違った使用で脂漏性皮膚炎になっていた
✅既存の治療で効果が出ていなかった
ということが重なり、「このアプローチならいける!!」とテンションの上がった私は早速使用開始。使用感はこちら
特許成分と開発秘話を大きな売りにしている育毛剤。しかし実際の効果はどうなのか?
冷静になり調べてみると、あ~んなことや、こ~んなことが
マスターピース全成分
カプリリルグリコール、1,2-ヘキサンジオール、アロエベラ葉エキス
キュウリ果実エキス、カンゾウ根エキス、ダイズエキス、サフランエキス
アンマロク果実エキス、ナツメヤシ種子エキス、タマネギ根エキス
育毛剤にはあたりまえの水・エタノールがないのは、宣伝文句の一つである「水を一切しようしない」という信念のもと。これについてはまたあとで。
有用成分をこれでもか、とぶち込むのが育毛剤のトレンドですが、それを差し引いても成分は少なめ。しかし大事なのは成分数より効果のある成分。
マスターピースは主成分に特許成分の環状リゾホスファチジン酸Na(NcPA)を前面に押し出しています。というかこれが全てと言っても過言ではないです。あとはコスト削減なのか?他の有象無象は効果がないとしているのか?
とりあえず、一点集中型。リアップでいうミノキシジルみたいなものです。
NcPAとは?
NcPAはもともと株式会社「SANSHO」が環状ホスファチジン酸(cPA)にミノキシジルの2.5倍の効果があることを発表したことで注目されました。(ミノキシジルの〇倍という表現好きすぎだろ)
ちなみに環状リゾホスファチジン酸Na(NcPA)は環状ホスファチジン酸(cPA)を化粧品用に研究・開発したものらしいです。
ただ、このNcPA自体は物凄くて申し分ない試験データがあります。これだけ見てみると本当に薄毛にも効果がありそうです。

さすがに試験結果が多かったので、リンクを貼りました。
NcPAは最新の成分であり、一流の方たちが目を付けた成分。効果がないと疑うほうが失礼に感じますが、そこは平等に。アンチエイジングに効果があっても薄毛に効果があるとは限りません。
3大AGA治療薬に匹敵するのか?それとも怪しい成分で終わるのか?結末やいかに!!
NcPAで発毛は可能か?
他育毛成分とは全く違たアプローチ
とのことらしく、マスターピースの公式サイトではNcPAがヘアサイクルの生成期(休止期と成長期の間、毛母細胞の状態)にコミットするらしいです。説明が回りくどいのは、成分が医薬品でないため薬機法で「生える」とかの単語を使用できないためです。

この考えに感銘を受け、購入を決意しました。

結局やめてんじゃねーか
NcPAの生い立ち
「ミノキシジルの2.5倍の効果がある」という衝撃的なデータとともにこの世に公表されました。
育毛人からすれば何度も聞いたことのあるフレーズ。本当にそうなら今すぐミノキシジルなんかゴミ箱に捨てるのですが、ここには巧妙な罠があります。それは「培養細胞(毛包)の実験において」という点です。
何が違うかというと、試験管の中での結果であり、人の頭では効果を確認してないという意味。
こういった試験ではミノキシジルと同等以上の効果を発揮した成分はいくつかありますが、実際に頭皮に使用、試験を行い発毛効果があるものは皆無。
脱毛症ガイドラインや世界でキャピキシルやリデンシルが発毛剤として認められていない原因はこれです。
NcPAの試験方法は?
開発メーカーのSANSHOが発表した「ミノキシジルの2.5倍の効果」というのは「毛乳頭細胞に添加して効果を確認した」というものであり、残念ながらキャピキシル同様「実際に人の頭皮で行い現れた差ではない」ということが判明します。

試験方法も把握せず、「育毛試験で2.5倍の効果を確認!」と煽るサイトは一度落ち着いてほしい。
人の頭で試験はするも・・・
やっぱりNcPAも所詮は培養結果のみかと思いきや。しっかり人の頭で添付試験をしています。
試験方法と結果は薄毛男性20名を対象としており、cPA0.5%濃度の水溶液を1~6カ月間塗布した結果発毛効果が見られたとのこと。
これだけみれば「70代の人でも発毛したの!」と信じ込むでしょうが、写真の解像度が低く、髪の部分が若干ぼやけてる。なんか怪しくないか?
まあこれだけでは負け惜しみの言いがかりと思われるかもしれませんので、もうちょっとツッコむと、

といっても育毛サイトは削除されていることを把握しなくても、上記の写真と結果さえ載せておけば、読者が勝手に勘違いし信用するだけなので楽なものです。

お前、今回キレッキレだな。
私も開発業の端くれ、こういった能力を調査する試験は
というのが常識です。
育毛業界は人の肌に直接触れる成分なだけに、私の仕事より厳密なはずです。
そうでないなら見切り発車せず、大規模かつ客観性のある二重盲検臨床試験を行ってから公表すべきだと思います。
ちょっと脱線
数年前から育毛サイトも「科学的根拠(エビデンス)」を重視するようになり怪しさはどうであれ、育毛剤もしっかり試験データやエビデンスらしきものを発表するようになりました。それは結構なことですが、この程度の試験において効果に「エビデンス(科学的根拠)がある!信頼できる!」と声を大にして言い張るサイトや人間がいるのが非常に腹立たしい(被害者の意見)。
結果の写真だけ見て「これは効果ある」と判断し、試験管のみの効果をそのまま頭皮でも起きると勝手に思い込ませ「試験データはそう示している」と言わんばかりに公表。
せっかくエビデンスがどうとか真面目に取り組まれているのですから、もう少し冷静に分析されればいいのに。と思うのだが、大人の世界は厳しいのである。
水を使わないって意味あるの?
マスターピースのもう一つの特徴。それは水を一切使わないというもの。
ローズウォーター(RW47)とは
説明ではバラと水を1:1で蒸留することにより、できたバラ水のバラ濃度が47%だからRW47となっているらしいです。
出典:公式サイト
下っ端にやらせず、博士自らが生成に関わるのは非常に好印象です。
RW47の作用
ローズウォーターの作用は抗菌・抗酸化・抗炎症作用があるとサイトに明記してありました。
つまり頭皮が荒れていれば効果はあるのだろうか?
NcPAで生成期にコミットし、ローズウォーターで頭皮荒れを治す。ここだけみれば最高の育毛剤で、今すぐにでも宣伝したいが、それらすべてAGAの前では無駄であり、私はこう続けたい。
あっそう。で、浸透するの?
有効成分が浸透しなければ意味がない。
500ダルトンルールって知ってますか?
人間の皮膚は多くの分子の浸透に抵抗するようになっています。つまり見えないバリアが皮膚にはあります。そのほとんどが角質層です。これを通り越して浸透しようとする場合、分子量が500ダルトン未満でないといけません。
さらに角質層は脂溶性の為、水溶性のもの、すなわち水と油を弾きます。
この条件をクリアし仮に角質層を無事超えても、その下の皮下組織は脂溶性が低いことが明らかになっているため、
今度はそこが通り抜けなかったりと、毛母細胞まで届けようとするのは至難の業です。
詳しくは下記ブログを読んでください。

マスターピースでは浸透できる気がしない
水を使わないから、成分100%だからと言っても、外用薬の場合、それが毛母細胞、血管に届かなければ意味がない。特にマスターピースは「ヘアサイクルの生成期にコミットする」と言ってるのだから、最低でも毛根まで成分が届かないと全く意味がありません。
他の育毛剤はエタノールやアルコールを混ぜている分、多少は角質層を通過するかもしれないが、マスターピースではそれができない。
RW47やNcPAは500ダルトン以下の分子量という情報はどこにもないし、奇跡的にそれ以下だった。ということが判明しても今度は脂溶性の問題が浮き彫りなります。(詳しくは上の記事を読んでね)
つまり、画期的な発想で育毛剤業界に確信をおこすも、より浸透しにくくなってしまった。というオチですね。
結局どうなの?マスターピース

ローズウォータ(RW47)もコンセプトが素晴らしく、ローズウォーター自体は検索すると色々出てくるほどメジャーです。その最上級がシャハランメスリ氏のRW47なわけです。
ただ2つとも皮膚には効果があったのかもしれません。しかし薄毛、ましてやAGAに関しては少し畑違いのところがあったのかその効果を遺憾なく発揮するのは厳しかったのだと思います。
しかしそんなことお構いなしに「ハゲに効く」とバカでかく宣伝するのは、これらの成分がいいように踊らされているようで残念に感じます。
つまり「NcPA・RW47=クソ成分」というわけでなく、これらでハゲから一儲けしようとするほうが悪なのです。
なによりSANSHOは公式サイトでNcPAの薄毛に関する情報をすべて削除しています。それなのに未だ持ち上げている育毛サイトの気が知れない。まあ単純に気づいてないのと、奇跡的にこの人には効果あったんだろうな。

マスターピースで発毛したのは、あと少し足りなかったとこがたまたま補えたとかで、「単体で効果があった」とかの人は少ないと思います。
といっても、マスターピースを使っていたら私の生え際のただれだけは治りましたし、皮膚炎症に関しては効果は本当にあるのだと思います。しかしそれだけで薄毛は治りません。
値段が高いのがネック
マスターピースの値段は1本12,960円もする。定期購入でも9,960円と一カ月分としても高い。
髪が生えるなら安いものですが、生えないんだなぁ~これが。
最強の外用薬フォリックスFR16ならほぼ半額の5,180円で購入が可能です。
副作用がーという人もいますが、外用のミノキシジなら副作用は痒み程度で大きな副作用はほぼ起きません。怖いなら濃度を下げて副作用リスクも下げてください。
生えるかわからない安全だが1万円する育毛剤か、少しリスクはあっても世界的に発毛が認められているAGA治療薬。どちらを優先するべきか?考えてみてください。
もし副作用や初期脱毛が怖いなら専門クリニックで先生と二人三脚で治療を行ってください。

まとめ
②携わった人たちが超一流で成分も薄毛改善以外には効果がありそう
③NcPAのミノキシジルの2.5倍の効果というのは培養での話
④人の頭でも試験してるが規模が小さく明確な方法も記されてない
⑤上記の試験が公式サイトから削除されており。SANSHO自体も薄毛に関する記事をすべて削除している
⑥RW47は素晴らしい成分だと思うが、毛母細胞まで浸透する気はしない。
⑦定期でも1万円近くするので高い。
⑧ミノキシ汁は頭皮環境改善なら効果を感じたのでいちよ感謝はしている。
⑨高齢、頭皮環境が荒れてる人が使えば治るきっかけにはなるかも。ただ単体で薄毛改善は厳しそう
薄毛を改善させたいなら、時間と金の無駄を最小限にしなければ、ずっと遠回りですし、治る可能性も年齢とともに低くなっていきます。
人は楽、安全、天然という言葉に弱いです。これらの聞き心地がいいのは脳の本能的に仕方のないことです。たしかにいい言葉ですが、薄毛、AGAの前ではそんな悠長なことは言ってられません。
薄毛の原因の9割は「AGA」その根源は遺伝。遺伝子に戦いを挑み、ヘアサイクルを正常に戻すのですから、ぬるま湯みたいなものではいつまでも治せません。
遺伝に逆らって髪を生やすんだ、人生を変えてやるんですから。それ相応のリスクも必要です。

この記事が話題になる。あるいは怒られて削除するはめになったら、貴様は二階級特進だ!

なんかうれしくないですね。
それでは今回はこの辺で。我ながら突っ込みすぎたとは思いますが、その分騙される人を減らせれたと思いまし、こんな素晴らしい人たちと会社がバックにいるのですから、それらの顔に泥を塗るようなことはやめていただきたい。
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